「リア充爆発しろ」リアルが充実している人間に対しての脅迫である。この言葉は、いつから古くなったのだろうか。
私が小学生の頃、それらは合言葉のように唱えられていた。「💥リア充💥」と書かれたTシャツを着ている同級生もいた。リア充爆発しろが全米を泣かせた夏があった。リア充爆発しろ、を番組名にちょこんとつけるだけで視聴率30%越えは当たり前だった。(例:『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! リア充爆発しろ!』『行列のできる法律相談所 絶対に訴えてやる! リア充爆発しろ!』『痛快TV スカッとジャパン リア充爆発しろ!』など)
この言葉は、いつから古くなったのだろうか。まあ小学生が知っている時点で、もう浸透しすぎてみんなが飽きちゃったのかもしれないけど。
しかしそれ以上に、被害が広がってしまったのが要因だと思う。実際問題、爆発されると面倒なのだ。今回は私が、一連の爆破事件を担当した刑事として、実際の事例をひとつ紹介しよう。
爆破事件が全国に広がり、捜査が本格的になりだしたころ。その日私は非番で、灯油を買ったあと、娘のクリスマスプレゼントのために玩具屋へ行った。物色していると、仲睦まじそうに歩くカップルを見た。
第六感だろうか。背筋がゾクッとした。振り返ると、帽子を深く被った男がカップルをジィッと見つめている。
第六感だろうか。「逃げろ!!!」私は恐ろしい結末を回避するため、カップルに向かって咄嗟に叫んだ。
第六感だろうか。彼氏が立ち止まり、後ろを見る。私と目が合った。私はアイコンタクトを駆使し怪しげな男の存在を知らせ、叫んだ。「リア充、逃げろ!!!」
第六感だろうか。彼氏は彼女の手を引いて走り出した。彼女はいったい何が起こっているのか理解が追いついていないようだったが、第六感が追いつかせたのか、足は遅めなかった。
しかし現実は非情だ。第六感だろうか。怪しげな男はカップルが逃げるよりも早く、口を動かしていた。
「リア充、爆発しろ」
小さい声だが、読唇術を心得ている私には何のこれしき。爆発まで時間がない。私はとっさの判断で、灯油を地面に撒き散らし、相棒のコルト・パイソンを撃ち込んだ。広がる炎。パニックになる店内。燃え盛る、でかい熊のぬいぐるみ。
瞬間、煙が立ち込め火災報知器が作動した。
水を撒き散らし、リア充も水浸しになる。爆発はしなかった。濡れていて、不発に終わったのだ。
安心してる場合じゃない。私は男を探した。しかしすでに男は、ハンカチを口元に当て頭を低くして逃亡していた。ちくしょう。しかし、爆発は防いだ。
結局私はカップルのクリーニング代や玩具屋の損害賠償請求により刑事を辞職した。後悔があるとすれば、いまだ犯人は逃亡しているということだ。
「リア充、爆発しろ」みなさんもじゅうぶんに気をつけてください。